2017年2月8日水曜日

血統を考える マカヒキ

今週の京都記念にマカヒキが出走予定となっています。

以前この馬は姉にウリウリがいてマカヒキとは異なり短距離を主戦にしていることを話しました。

これは不思議なことではなく、人間の兄弟でも性格が異なったり身体能力も一緒ということはありません。

その競走馬が実際に走っている距離がその馬の適距離になると思うのですが(そこには人の思惑が大いに反映されているのだと思いますが)、血統的にはどうなのかを個人的な考えを含めて考察していこうと思います。

マカヒキ
父:ディープインパクト
母:ウィキウィキ
母父:フレンチデピュティ

父は今を時めくディープインパクトですね。今後もディープインパクト産駒が多く活躍すると思うので、少しこの血統についても考えていきましょう。

ディープインパクトの父はサンデーサイレンス。アメリカ3冠レースのうちケンタッキーダービーとプリークネスステークスを勝った2冠馬です。種牡馬としての日本での活躍もご存知でしょう。
母はウインドインハーヘア。5代血統表をみてもクロスはなくアウトブリードになっています。強い競走馬をつくるためにはインブリード(近親交配)が基本として考えられていました。強い競走馬が出ると、その競走馬の血を色濃く受継がせようとして近親交配をし、強い馬の血に近づける、ということがされてきました。今でもその考えは継続されていると思います。
しかしディープインパクトに5代目までにインブリードはありません。では何が血統的に強みなのかというとアメリカ血統とヨーロッパ血統が混ざっていることです。
また主流血脈で固められていないこともこの馬の強みでしょう。
父父(ヘイルトゥリーズン系)と母父(ノーザンダンサー系)は主流血脈ですが、父母父(テディ系)と母母父(ブレニム系)は主流ではありません。

アメリカ血脈だけで馬づくりをするのではなく、ヨーロッパ血脈で馬づくりをするのではなく、主流血脈だけで馬づくりをするのではなく、異系血脈だけで馬づくりをするのではない。

強い馬をつくるために異系の血脈をいれることも強い馬づくりには必要だということを証明した例ではないでしょうか。
ちなみに全くのアウトブリードかというとそうではありません。6代目まで掘り下げていくと母ウインドインハーヘアはスピード血脈を持ったCourt Martial4×5を持っています。このスピードがサンデーサイレンスのスピードを底上げし、他の血脈でスピードの維持力を持たせたのではないでしょうか。他にもスピードを裏打ちする血脈もあるのですが、長くなるのでここではやめときます。
レースをみてもわかるようにディープインパクトの適距離はスピードのある中距離馬だったと考えています。

では、このディープインパクトがウィキウィキを迎えてどのような血統背景になっていのでしょうか。

この2頭の間にはヘイロー3×5、ノーザンダンサー5×5のインブリードがあります。
スピードを早めるインブリードといえかもしれませんが、ナスルーラのようなスピードはないと考えます。
半面、そのスピードを維持するための血統が多いように感じます。
2代前の4頭をみると、すべて主流血脈といえそうですが、もう少し細かく見て3代前の8頭を見てみると、5頭が主流血脈、3頭が異系血脈となっています。

スピードをもつ血脈(ノーザンダンサーやヘイロー、ブラッシンググルーム)はあるのですが、その血脈にスタミナをいれた血脈にさらにスタミナをいれた血脈が並んでいるように感じます。

そのためマカヒキはディープインパクトに比べるとややスタミナに特化した中距離馬のように考えます。血統からすると母父にフレンチデピュティもいるので重馬場でも走れると思います。

マカヒキは追い込みもする馬ですが、こうして考えるとダービーのように先行してスタミナを使わせるレースの方があっているように思います。

こうなると個人的にはウリウリにも中距離レースに出てほしいですねw

参考:競馬通信社著作・発行 尾林奉之 『血統基礎講座』
   NHK出版 吉沢譲治 競馬の血統学サラブレッドの進化と限界
   NHK出版 吉沢譲治 競馬の血統学Part2




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